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2025/05/16

【SS】指に囚うが一ツ輪と


 も一つSSです。蛇です。
 学園に投下した本文+αです。
 色には一切関わりませんが、同文をついしょにぽいとしておきます。

 そういえば前作(星に届かぬ~)と時系列がほぼ同じなのに急激に口調が変わっておりますが、
 ①蛇は人前(特に郷里)では仮面に対して敬語口調
 ②星に~の段階ではまだその癖が抜けていない
 この二つが主な理由になっています。
 あと多分、時系列は「星に~」が辺りが暗くなったばかり頃、「指に~」が夜更けかそれを過ぎた辺りです。17日段階では学園は雨模様の天候だったので……。





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[続き≫]

2014/09/18 書き物 Comment(0)

【SS】星に届かぬ宵闇に


 学園に行動日記で投稿した【星に届かぬ宵闇に】の本文+αです。
 BL色が強く出ておりますので、苦手な方はご注意下さい。
 尚、若干R18入った完全版は、例によってついしょにぽんとしております。

[続き≫]

2014/09/17 書き物 Comment(0)

小咄


さあ、さあ。そこ行く御仁、ちと足を止めて。
そう、そうとも、お前さまだ。

お前さま、この所眠れなかったりしないかね?
うん? そう、眠れるか。それは良かった。
私か。私はね、夢売りさ。
嗚呼、こらこら、行きなさんな。冗談を言っている訳では無いのだよ。
そうとも、私は夢を売る。
眠れぬ者にも売るし、先を知らぬ者にも売る。
お前さまはどちらかね?
夜、たんと眠れるのかい?
毎晩夢を見るのかい?
それとも、遠い未来に抱くものがあるのかい?
さあ、お前さまの望む夢はどれだろうね。

奇妙な事を聞きなさる。
夢が何かは、お前さまの方こそよくよく承知の事だろう?
お前さまにとって夢は何だね。
安らぎか、平穏か。
息抜きか、歓楽か。
酒に酔うより健全な酩酊か、粉を舐るより安易な安楽か。
或いは胸を焦がし先へ先へと向かう糧、焦がれる未来の姿形かい?

嗚呼、これ、何処へ行きなさる。
まあまあ、そう急ぎなさんな。
今し方言ったばかりでは無いかね、決して冗談を言っている訳では無いのだよ。

やれ、疑り深い御仁だな。
ならばこうしよう、お前さまの望む夢を教えてご覧なされ。
私はその中からひとつ選んで、お前さまに教えて差し上げよう。
買うか買わぬかはお前さま次第だよ。
うん、そうだとも。夢にはね、幾つもの種類があるのさ。
お前さまが望む夢にも、幾つかの形がある。
さあ、さ、お前さまは何をお選びなさるかね?

知らぬ姿に、知らぬ生き様?
嗚呼、人間はお嫌か。成る程、もう飽き飽き為されたと。
それなら、お前さまにはこの夢が良い。
そう、此処にはね、白い狐の夢がある。墨絵で描かれた狐だよ。
ははあ、その顔は嘘だとお思いだね。良いとも、少し話してお聞かせしよう。

遠い、遠い山奥での事だ。
或る所、深く深く木々の間を分け入って、人々にさえ忘れ去られた山奥に、一人の絵師がおったらしい。
ただしその絵師は両眼を病に蝕まれ、光を失った若い娘であったそうな。

ふうん、作り話とお思いかね。まあ、お聞きなされ。

娘は生まれし頃より盲いて居た訳では無いようだ。何でも未だ幼き年の頃に、熱病に冒されてな。それが原因で、永久(とわ)に光を失ってしまったのだと。
さて、幾年月が過ぎたろう。盲いた娘は双眸を塞がれこそすれど、それは美しい娘に育っていったという。
だが、如何せん深い山奥の屋敷の事だ。友も無く、それどころか歳の近い者も無く、娘はさぞや寂しかったのだろうよ。

はてな、それはどうだろう。娘がその屋敷に暮らした謂われか、生憎私にも判らないよ。
なあに、夢というのはそういうものだ。どことなく小さく隠れて、そうとも、全てが露わになる訳では無いのさ。
はは、お怒りなさるな。それよりも、話を戻そう。

盲いた娘が筆を手にした理由は、恐らく誰にも判るまい。その娘以外にはな。
娘は墨を擦り、筆に含ませ、黒い線を走らせた。
場所は何処でも良かったらしい。藁半紙の事もあれば、襖や障子の事もあった。庭の草木に塗り付ける事もあったそうな。
さて、盲の娘が如何様にして絵を習い憶えたものか。
いつしか出鱈目な線は形を結び、様々な絵を描き出していった。
蜻蛉や蛙、魚に猫。犬や馬。娘が描くのは常に生き物でな、僅かな使用人しかおらぬ山奥の屋敷で、娘はさぞや寂しかったのだろうよ。
娘がどうやって生き物の姿形を描いたものか、それは誰にも判らぬさ。大凡、幼き頃の記憶を頼ったか。 
兎角、娘は描いた。様々な生き物をな。ただ、人間だけは描かなかったようだ。まあ、人の形は難しかったのかも知れん。
娘の絵は歳を経るごとに上達し、やがて一端の絵師と称して劣らぬ腕前となった。
だが描き手は盲で、住処は山深い屋敷と来れば、若い女絵師の噂など、人里には到底届かぬものであったのだろうよ。
相変わらず、娘は孤独だった。
そんな頃、娘が一枚の絵を描いた。以来、娘は絵を描く事をぱたりと止めたらしい。
何を描いたと思うね? そうとも、白い狐の絵さ。
屏風には、大きく大きく、一尾の狐が描かれていた。
その狐はな、今にも動き出しそうなほどに生き生きとしていたらしい。
さて、筆を捨てた娘は、それからずっと、屏風と一対一よ。
部屋に狐の屏風を置いて、凝っと向かい合ってな。まるで屏風の狐が生きておるかのように始終話し掛け、時には笑い声を立てておったという。
盲いた娘と屏風の狐は、果たしてどのような話をしておったのか。
それは、夢の中で確かめられよ。

卑怯とお思いかね? そのような事はありますまい。
ほう、お買い上げなさるか。
それではお代が銭一枚、と。毎度あり。
心配御無用。お前さまが今宵、煎餅布団に包まれて瞼を瞑れば、夢はちゃあんと見られますでな。
これは失礼申した、煎餅布団は余計でしたな。
そうか、もうお帰りなさるか。それではまた、御縁があれば。


さて、本日は店終い、と。
おや白狐、おまえさんか。
先程の御仁は、どのような夢を見られようかな。
ところであの夢に如何様な続きがあったものか、おまえさんならよくよく承知していよう。

そうとも、使用人達は娘が寂しさの余り一人遊びをしていると思い、屏風に話し掛ける様子を気にも留めなかった。
しかし何時しか、屋敷に狐の鳴き声がするという者が現れた。それも次々にな。
無論、山に囲まれた屋敷の事、狐の一匹や二匹彷徨こうと気になるものでは無い。
だが、誰が言い出したか。狐の鳴き声は、どうやら娘の部屋から聞こえるという。
不気味に思った使用人達は娘から屏風を取り上げ、それを火にくべたところ、何処ぞで狐が一声啼いたそうな。
その声を耳にした娘は屏風の燃える炎に飛び込んで行き、……はて、そうしてどうなったか。
まあ、つまらぬ夢のひとつに過ぎまい。

小咄、小咄と。

――――――――

前の記事に夢売りと墨絵の狐というのを(名前程度に)ちょこっと出したので、そのついでとばかりに書いてみました。一発書きなので色々と変な所がありそうですが(文法とか特に)、見逃して頂けると幸いです。


小咄と書くと落語やらを思い浮かべそうですが(自分だけかも知れませんが)、小さな話やちょっとした話、作中においては些細な世間話、といった程度の意味で使っています。意味を取り違えているかもしれないと冷や冷やしています。違っていたらすみません……。

2010/11/25 書き物 Trackback() Comment(0)

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